S.Iさんはナイアガラの電源タップをご愛用頂いているローゼンクランツの大ファンであります。新築にあたってオーディルームの設計のお手伝いをさせて頂きました。
部屋の寸法比を設計の重要ポイントにしました。
カイザーサウンドが提唱する美しい響きの和音設計です。
完成の暁には”こんな風にしたい”と、以下のメールを頂戴しました。
特に希望されたのは、最近開発したばかりのスピーカー/RK-MR(Music Reference)をセンタースピーカーも含めて3本で聴いてみたいというものです。
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----- Original Message -----
From: S.I
To: info@rosenkranz-jp.com
Sent: Tuesday, September 02, 2008 1:15 AM
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貝崎様
茨城のS.Iです。
今回のクリニックではどうしても5ch再生の為のよきアドバイスをご考慮願います。本来ならば、2chで本物の音の追求をしたいところですが、今やSACD mulch のディスクも多数出ており、一度最高の音質で聞いてみたいのであります。
合気道における多人数掛けのようなものですかねえ。しかしながら、センタースピーカーもありませんし、今さらちんけなスピーカーで鳴らす気もさらさらありません。
貝崎さんのクリニックで5chの為のクリニックもなかなかきいた事もないので不安ですが、PA-01を3台使っての5ch 再生なんて聞いたことないからこそやりたいと思います。
リア用スピーカーケーブル及びピンケーブル、センターch用スピーカーケーブル及びピンケーブルが必要となります。また、PA-01 2台分の電源ケーブルも必要です。長さも特に長くなると予想されますので、なるべく安価で高音質のものをと考えています。
リア用スピーカーとしては6角形スピーカーで考えています。とりあえずスピーカースタンドは2台あるのでそれを使用したいところです。考えどころはセンタースピーカーとFB1との相性です。悪ければ別の方法を見出さなければなりません。
色々な組み合わせが考えられる所です。2CHを極め5chを適当にやるか、満遍なくそれなりに収めるか、ちょっと時間の掛かるところだと思います。5chは不自然だという人も多数いると思いますが、それはやっぱりきちんとセッティングしないと分からないんじゃないかと思います。
貝崎さんにはそのところの提案も含めクリニックしていただきたいと思います。
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20畳の広いオーディオルームですが、特に際立っているのは一般の部屋に比べて30センチほど天井を高く取ってある点です。S.Iさん仰るに、適当にセッティングしたにも拘らず、以前の部屋とは比べものにならないほど良い音で鳴ってくれたようです。
この部屋のライブな響きが、上手くセットしたら相当良い音で鳴りそうな予感が部屋を拝見した私にもしています。先ず80インチの電動スクリーンをカイザー寸法に則り、背壁と位相を合わせて3人がかりで天井に取り付けました。
次の仕事はカイザーウェーブラックの設置です。3段の物を2個頼まれていたのを、私が勘違いして2段の物を3個作ってしまったのです。
スクリーンの前に機器が高く置かれているのも落ち着きませんし、センタースピーカーを置く事を考えるとむしろ間違えたことが好結果に繋がったようです。
探し難い中にもこの部屋に問題があるとしたら、右のスピーカー近くの側壁部分が階段下を利用した物置になっている点です。その1畳ほどの空間に出入りする空気の動きが左右の空気の流れ方に違いをもたらします。これは目に見えない難敵です。
その辻褄合わせをどうするかを思案したのですが、息子が妙案を思いつきました。3つのラックを平行に置いたのではそのいびつな響きを解消するのは難しく、変則的に左のラックを一段前に置くL字型配置を試みる事にしました。
数え切れないカイザーサウンドのセッティング暦の中でもこんなのは始めてです。要するに左側部分にもイレギュラーな空気と振動のぶつかり合いを作ってやる訳です。
S.Iさん宅訪問も今回で三度目になりますので、音作りに於いては厚い信頼を頂いています。だからこんな変則的な方法も、黙って見ていてくれるのです。
そんなトリッキーとも思えるレイアウトも、誰が見ても変化がある美しさを感じるでしょうし、また、どんな音で鳴るのかワクワクもするでしょう。趣味の部屋ですから、ちょっとした余裕や遊び心も大切です。
キングレコードから出ている民族音楽シリーズの中からチベットのお経をかけました。生々しい空間に響き渡る僧侶達の荘厳な声が部屋中に満ち、一緒にお祈りしているような気持ちになります。
更にちょっと珍しいパーカッション類の楽器ばかりで構成される現代音楽を聴いてみます。
『ラックの違いだけでこんなに音が良くなるんですか?』
「そうですね、既にお使い頂いているサウンドステーションと響きが調和するのが、今日の場合は特に大きいですね」。
「今までの貯金が相乗効果となって大きく効いたわけです」
「じゃあ、次はミュージックリファレンスを聴いてみますかね」
オーシャンブルーにシルバーフレームのユニットが映えます。
『顔がいい!』
ルックスが気に入ったようです
ドボルザークの新世界を聴いて・・・
『FB1とは低音の出方が全く違う!』
『これが本物の低音ですよ!』
『音としてではなく、全ての楽器が目に浮かぶ!』
『FB1の時はどんなに音楽が変わっても、スピーカーの低音としてしか認識出来なかった』
『こんなリアルな音をスピーカーから聞けるなんで信じられない!』
『とにかく低音が美しい』
『これは買いますよ!』
興奮を抑えきれず、思ったままが言葉として出てきます・・・。
S.Iさんは即購入の決断をしました。
”音楽の音楽たる所以の音”を感じたのでしょう。
私が願っているのはその一点なんです。
そこを感じ取って自分の五感で買って欲しいのです。
ミュージックリファレンスの実力を知っている私から見ると、まだ60点の鳴り方なのですが、早々とS.Iさんの脳内にある音楽のスイッチが入ったと見えます。
タイミングを同じくするように、私の脳内にもアドレナリンが溢れ、この仕事が止められない中毒症状を引き起こし、更なるステージアップに向うエネルギーに変わるのです。
お客様宅訪問のクリニックとセッティングは、私を成長させてくれるオーディオ行脚であり巡礼の旅と同じです。
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音楽をかけて最高潮になるのを待つだけ |
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アンプとの呼吸、部屋との振動の折り合い等、粗方30分もすれば、想像を遥かに超える音に化けるのは確実と思えるようになると、安堵感がかぶさってきました。
昨夜の根を詰めた仕事と今朝早起きしてスピーカーの組み立てがたたったのでしょうか、こっくりこっくり舟を漕ぐようになりました。
今日のセッティングはビジュアル調整の得意な息子に任せて私は我侭にも横にならせて貰いました。
この後、CDプレーヤーとメインスピーカー用のアンプにインシュレーターのBIGUを入れて一気に音のグレーアップを計ります。
センタースピーカーを増設し、3台のモディファイ済みPA01を各々のラックの下段に配し、10年主役として頑張ってくれたPMC/FB1はリアースピーカーとして一歩引いて有能な新人達を見守ることになりました。
響きの美しい部屋と高さのあるエアーボリュームは機器の性能だけでは得られない魅力があります。人生の一大事業であるマイホーム実現時には、音楽ファンならこんな部屋を持ちたいものですね。
オーディオルームの設計のお手伝いは10万円から承ります。
お気軽にご相談下さい。
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----- Original Message -----
From: S.I
To: info@rosenkranz-jp.com
Sent: Saturday, September 20, 2008 11:34 PM
Subject: ミュージックリファレンス有難うございました
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貝崎様
先日はクリニック有難うございました。大変お疲れのようでしたが、先日の電話はとても声に力がありましたよ。頑張って下さい。私も辛いことの方が多い毎日ですが、頑張ります。
今日は早く帰りましたので、音楽に浸りまして、感極まっております。まずはお礼にメールさせて頂いております。最高の贅沢を噛み締めております。
しかしながら、私のオーディオ道楽もようやく一区切りの時期を迎えたようです。ここ数年の間、音楽というものより音を追求することばかりに専念していたようです。音楽を聴くことがこんなに素晴らしいと感じるなんてとても不思議です。
中学生の頃よりがむしゃらにクラシックを聴いていた頃に戻れました。とてもうれしいです。
最近では、音楽自体何も聴きたくないと感じ、静寂を求める時間もありました。打開するには新たな感動が無いとダメだと思い、思い切って貝崎社長の思うがままの商売をして頂いた。
目の覚めるような音が欲しくて一時はアヴァンギャルドのスピーカーも考えました。しかし果たして音楽を心から楽しめるのだろうかと、自分に自問自答しました。
迫力が欲しいのか、優しさがほしいのか、低音がほしいのか、高音の美しさがほしいのか、純粋な音がほしいのか、高解像度の音がほしいのか、芯喰った音がほしいのか、芸術的な音がほしいのか、一体何が欲しいのか。それは自分にも分かりませんでした。
ただ、私は音楽を聴くのに、音の聞き比べをしたりするのはもう沢山だと思っていました。そんなことより作曲者の思いや奏者の熱意を感じたい。そんなシステムが欲しかったんです。
今回ミュージックリファレンスのスピーカー、インシュレーターやケーブルなどを設置しましたが、この総合的なシステムこそが音楽を心から聴くということへの喜びを再び教えてくれました。
このメールが貝崎社長の商売繁盛となるように願っております。ただ漠然とした内容なので、思ったことを正直に言いますので気に障ったらご容赦願います。ローゼンクランツの試聴室の音は今まで、軽い羽根で音楽を奏でているような清々しい音だとばかり感じていました。
確かに心地よく、人肌の温もりを感じ、優しい音でした。しかしながら、荒々しさや、厳しさ、痛々しさだとか迫力だとかいう表現はいまいちぐっと来るものがありませんでした。とくにショスタコーヴィッチは優しすぎてもの足りないなと感じておりました。
腹にぶち当たるようなアタックも地を這うような低音も出すような音作りをして欲しいなと常日頃思っておりました。オーディオファイルなら小さい音ばかりじゃなく割れんばかりの大迫力だって聴きたいと思っているはずです。
やっとこの新作スピーカーは世の期待に答えた。大まかにいうとPMCのスピーカーよりも重く速く美しい低音は難なく出るし、大音量も難なく出る。何より凄いのは、大きい音と小さい音の差が凄いこと,またアタック音が異常に鋭いということ。
だから音が立体的に、迫力をまたはリアリズムを感じるんでしょうね。オーディオファイルは高解像と大音量が大好きでしょうから、申し分ない出来ですね。それでいて音楽そのものを楽しめるんだから、他のスピーカーのメーカーにとっては脅威でしょうね。
ただし私のシステムは殆どがローゼンクランツですから、スピーカーだけではこんな芸術的な音は出ないでしょう。それは私が他の製品に浮気せず、貝崎社長についていったこと信じたことによるもので、やっと今回で開花したというわけです。
確かに高価では有りましたが、誰もが経験することの出来ない深遠な世界を知ることが出来ました。カイザー流で言えば空間、電気、振動の時間軸の一致というところでしょうか。
先ほどはショスタコーヴィッチのバビ・ヤールを聴き、恐怖が美化されることなくストレートに表現されたことははっきり言って驚きました。身を打たれるようでした。生きた音楽がど迫力でぶっ飛んでくるリアリズムに本物の芸術を感じることが出来ました。家にいながら本物の芸術を味わうことができて本当にありがとう。貝崎さん。では近いうちにまた。 |
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From: "S.I"
Sent: Tuesday, October 2, 2011 18:41 PM
To: <info@rosenkranz-jp.com>
Subject: 我が家の音のレポート
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茨城のS.Iです。先日は電話有難う御座いました。最近はもう音楽を聴くことが嬉しくて、このような音を授けて下さった事に感謝しております。しかし、この事をきっかけに、私の欲する音の未来が見えてきたような気さえします。
このスカーっと抜けるような音とステージの奥の深い感じは、今までに聞いた事のない感じなのです。FB1の時は、スピーカーの振動がサウンドステーションに伝わるというイメージでしたが、今回のは、全く反対のように感じるから不思議です。
床の振動を吸ったサウンドステーションがスピーカーを通して上に抜けるというイメージ。だからこそRK-MRから出る低音が深い。この低音を聴いたらもうやめられない。なぜ、この音が出たのか自分なりに解釈してみたところ二つの理由があったからだと思います。
一つ目は、二つあるスピーカーセンター像の前後関係。二つ目は線運動と線運動ではぶつかり合いが生じるが、線運動と回転運動ではぶつかることが無いということです。なぜステージの奥行きが深いのか? これは、RK-MRで鳴らした時の音のステージはRK-MRとリスナーとの間で出来るはずです。
ところが、実は三次元スピーカーの後ろの内側のスピーカーでは壁とスピーカーの間で音のステージが出来るはずです。この二つのステージが線を結び、音を三次元にしていると思います。これがきちっとカノンのように波が合えばきっと広大なステージが現れるんではないでしょうか?。
二つ目はRK-MRから出た音は、リスナーを抜け後ろの壁に当たり反射し、スピーカーと逆方向の抵抗勢力となって向かって来る事も明らかですが、三次元スピーカーは回転するボールのようです。向かって来る敵を内側から外側へ導いてぶつかり合いを避けているように思われます。
たとえば、げんこつとげんこつを合わせ押し付け合いをしても、片方のげんこつを回転させたら、簡単にぶつかり合いは無くなります。しかもほんのちょっとの力だけで。この現象が発生していると思います。RK-MRの直線的振動をも回転振動により上手く捌く。だからこそ音によどみない流れが出て気持ちがいいと感じるのだと思います。
生意気言いましたが、今まで聴いてきた中で最高と感じるのです。優しく清々しく心が洗われるようです。お互い暇になった時是非聴きに来てください。
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